膝が痛いと
「正座はひざに悪いからやめましょう」
と言われたり
「膝が痛いから正座はしないようにしています」
と考え、
曲げることを極力減らしている方、
けっこう多いですね。

床の生活から椅子の生活に変えたり、
床で寝ていたのを、ベッドの生活に変えたり
和式トイレを避け、洋式トイレを使用する。

日々の生活の中で、
ひざを曲げる回数や
角度を減らしていませんか？

本当に、そのような生活が、
長期的な目で見たときに、
膝のためになるのでしょうか？

多くの方が、正座は悪いと考えています。

しかし、高齢者の方でも、
膝の悪くない人は正座をしています。

日々、正座をすることで、
膝の関節がやわらかく保たれ、
筋肉もストレッチされています。

膝を曲げることが嫌で、
避けるために

• ちゃぶ台（床の生活）から、テーブルに変える
• 床で寝ていたのを、ベッドに変える。
• 和式トイレは避け、洋式トイレを使う。

毎日何気ない動作ですが、
少しずつ、「膝を曲げるチャンス」を逃しています。

その結果、少しずつ、
ひざは固くなっていくのです。

各、動作における膝の屈曲角度目安。

【歩行】0～70°

【座位】90°

【階段降り（25ｃｍ段差）】105°

【立ち上がり】120°

【しゃがみ】130～160°

【正座】155～160°

それぞれの動作で、
これくらい、
膝が曲がらなければいけないんです。

曲げられる角度がせまくなっていくと、
日常生活動作に制限がでてしまいます。

試しにやってみてください。

椅子に浅く座り
膝を90°に曲げた状態で、
立ち上がってみてください。

「ウッウッ」と唸るだけで
立ち上がりにくいんじゃないでしょうか？

※これで立ち上がれる方は筋力があります。

今度は、膝を120°曲げた状態から
立ち上がってみてください。

どうでしょうか？
1回目の90°の時より、
立ち上がりやすくないですか？

膝を必死で曲げて120°しか曲がらない人の場合、
日常生活では、110°くらいしか曲げていません。

無意識に、
曲げることを制限してしまいます。

楽に立ち上がるためにも、
余裕を持って130°は、
曲がるようにしておきたいのです。

階段の下りなら最低でも、
115°は曲がって欲しいのです。

膝を曲げるために、
いきなり曲げたり、
しゃがんだり、
正座をするのは、痛みが出てしまう危険性があります。

そこで、
私が患者さんに伝えている
お風呂でのひざ曲げ運動を紹介します。

お風呂の中だと、血液循環もよくなり、
関節や筋肉もやわらかくなります。

しゃがんだり、正座をするときは、
浮力で体重を軽減してくれます。

少しずつ曲げることが、
出来るようになると、
日常生活でも、曲げることへ制限や怖さが減っていきます

３段階に分けて、１つずつクリアしていきましょう。

レベル１　お風呂に座って膝を曲げる。

レベル２　お風呂で浴槽のフチをもって、しゃがむ。

レベル３　お風呂で浴槽のフチをもって、正座する。

それでは、
がんばっていきましょう。

レベル１　
お風呂に入り、身体が温まってから行ってください。
ひざが、やわらかくなり
痛みも軽くなるはずです。

1. まず、浴槽に座ります。
2. つま先を内側に向けます。
   （膝の悪い方は、スネが外側にねじれています。
   つま先を内側に向けることで、
   ねじりの改善も期待できます。）
3. 両手でスネを持ち、膝をゆっくり曲げます。
4. 少しずつ曲げていくと、
   痛みが無い角度→つっぱる角度→痛みが出る角度と
   変わっていくと思います。
   
   痛みが出る角度の手前、
   ひざの周りがつっぱる角度まで曲げていきましょう。
5. 10回程度繰り返したら終了です。
6. 痛みが無く、
   かかとがお尻に付く、
   もしくは、
   かかととお尻の間がこぶし１個以内になればクリアです。
   
   レベル２へ。

レベル2　

1. 浴槽のフチをもち、立ちます。
2. 少しずつしゃがみます。
   痛みが無い角度→つっぱる角度→痛みが出る角度と
   変わっていくと思います。
   
   痛みが出る角度の手前、つっぱる角度までは曲げていきましょう。
3. その状態で３～５秒キープしたら、一旦立ち上がります。
4. 毎日、3回程度やってみましょう。
5. 痛みがなく、しゃがめるようになればクリアです。
   レベル３へ。

レベル3　

1. 浴槽のフチをもち、立ちます。
2. 少しずつ正座します。
   痛みが無い角度→つっぱる角度→痛みが出る角度と
   変わっていくと思います。
   
   痛みが出る角度の手前、つっぱる角度までは曲げていきましょう。
3. 3～５秒キープしたら、一旦立ち上がります。
4. 毎日、3回程度やってみましょう。
5. 痛みがなく、正座できるようになればクリアです。

レベル３がクリアできたら、
お風呂ではなく、
日常生活でしゃがんだり、
正座にチャレンジしてみましょう。

炎症がある方は、無理をして曲げるのは危険ですが、
炎症が無い方は、少しづつチャレンジシてください。

日々の生活で曲げてあげることで、
元気なひざになっていくのです。

いきなり曲げるのは怖いと思います。
お風呂の中で、
曲げたり、
しゃがんだり、
正座にチャレンジしてみましょう。

毎日やっていただくと、
少しずつ曲がっていきます。

お風呂で曲がるようになると、
痛みや怖さが減って、
日常生活の中でも
自然と曲げている自分に気づくはずです。

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